葬式

あやしいやつが、庭へはいってきたのじゃないか。気がつかなかったか。」係長が、あわただしく、たずねました。「わたしたちは、あちらのしげみの中に、身をかくして、家ぜんたいを、たえまなく、見はっていましたが、あやしいことは、なにもありませんでした。」ふたりの刑事は、口々に、そう答えました。「遺族、いま、ゆりかが気がつきました。そして、窓のそとに、葬式 交野市がいたと言うのです。逃げるひまはありません。そのへんをさがしてください。」喪主さんが、しわがれ声で、どなりました。「みんなをあつめて、庭をしらべるんだ。」近親者係長の声に、ひとりの刑事がピリリリ……と、呼びこを吹きならしました。すると、まもなく、庭の塀のそとや、おもてのほうにいた刑事がかけつけてきました。そして、五人が手わけをして、懐中電灯をふりてらしながら、庭のなかを、くまなく、さがしまわりましたが、あやしいものの、かげさえありませんでした。ふしぎです。ゆりかさんが、さけび声をたててから、みながかけつけるまで、一分もかかっていません。そのうえ、庭には、ふたりの刑事が、見はっていたのです。