葬式

そのうえ、くらの入り口に奇妙なしかけをつくったのです。それが、どんなしかけであったかは、あとでわかります。すっかり、じゅんびができあがると、いよいよ、喪主 葬式 交野が、ただひとりで、その告別式のくらの中に住むことになったのです。ゆりかさんは、ある日、こっそりと自動車で、くらの中にひっこしをしました。そして、まいにち、バイオリンをひいて、くらしていました。ひろっぱの一方のはじに、小さなアパートがありましたが、ちょうど、ゆりかさんがひっこしをした日に、そのアパートの二階の一室を、ひとりの男がかりうけました。それは、三十歳ぐらいの、会社員のような人でしたが、べつに、会社へいくようすもなく、一日じゅう、アパートの部屋にとじこもって、窓のカーテンのすきまから、そっと、ひろっぱのほうをのぞいているのでした。その窓は、ちょうど、ゆりかさんの住んでいる、告別式のくらの入り口に、むきあっているので、くらへ出いりするものがあれば、ひとめでわかるのです。男は、ただ、すき見するだけでなく、大きな双眼鏡を持っていて、それを目にあてて、カーテンのすきまから、のぞいていることもあります。いや、それだけではありません。